Project story 01

新任プロジェクト マネージャーの
異分野への挑戦

世の中の幅広いデータ解析の
ニーズに応えたい

私は、もともと経営学出身で博士号を取得していたこともあり、知能情報システムでは経済・金融分野のデータ サイエンティストとして、データ解析や確率統計分野のソフトウェア開発に取り組んできました。
知能情報システムには私が専門とする経済や金融の分野だけでなく、様々な分野のデータ解析のニーズが集まります。日々それらのニーズを目の当たりにする中で、経済や金融分野に限らず、幅広い分野のデータ解析ができるようになりたいと考えるようになっていました。その背景には、確率統計分野の知識は、幅広い分野で応用できると常々思っていたこともあります。

そんな私が、自分の専門とはまったく異なる生命科学分野のソフトウェア開発プロジェクトに参加することを決めました。
このプロジェクトは、ある大学の医学部の先生からご依頼いただいた「医療データを解析し可視化するためのGUIアプリケーションの開発」を行うというものです。

このアプリケーションは、創薬ターゲットの選定に役立つ知見を得るためのもので、先生ご自身の研究の中で使用するとともに、同じような研究をされている多くの研究者の方々に提供し、この分野の研究を加速させるという大きな目的があるとのことでした。

生命科学分野のアプリケーション開発プロジェクトへの参加

当社では、お客様から打診をいただくと、詳細をヒアリングするために訪問メンバーを募ります。打診の内容は私の専門とは異なりましたが、確率統計分野のキーワードが含まれていたため、きっと私の知見が役に立つ、異分野に活かせるチャンスだと思い訪問メンバーに加わりました。

先生との面談においては、現在取り組まれている研究の紹介と、開発を依頼したいアプリケーションの説明をしていただきました。また、参考文献をもとにデータ解析手法について簡単に説明をしていただきました。初めは異分野の研究ということもあり、気後れする部分もありましたが、データ解析の手法については、想定通り私がよく理解している確率統計分野の手法でしたので、ご依頼の内容を十分に理解することができたと、手ごたえを感じることができました。

当社では成約の可能性が高くなると、プロジェクトを立ち上げます。その際に、プロジェクトに参加したい社員が集まり、プロジェクト マネージャーを決め、メンバーとその役割を決定します。
私は、自分の専門とは異なる分野での業務経験を積みたいという思いと、プロジェクト マネジメントのスキルを磨くために、マネージャーとして参加の手を挙げました。もちろん、確率統計の知識が役立つという自信もありました。

経験とノウハウ、ベテランという存在

今回のプロジェクトにおいて想定した課題は次の2つでした。

1. 大規模データの解析処理の高速化
2. 大規模なグラフ構造の高速な可視化

文献に示されているデータ解析手法をそのまま実装するだけでは、解析の処理速度の高速化や使用するメモリ量の制限をクリアするのは難しいと考えていました。また、高速な可視化を実現するうえでは、大規模なグラフ構造の表示に適しているアルゴリズムを採用する必要があると考えていました。
これらの課題をクリアするには、経験とノウハウが必要不可欠であると考えていました。
残念ながら、私はどちらも持ち合わせておりませんでしたので、生命科学分野の業務経験が豊富で、パフォーマンスを要求されるGUIアプリケーション開発に実績のある先輩社員に開発リーダーとして加わっていただきました。
私自身、未経験の分野のプロジェクトであり、また、初めての規模の大きなGUIアプリケーション開発ということで、その先輩社員からプロジェクト運営やアプリケーション開発について、ノウハウを学びたいとも考えていました。

データ解析の高速化については、2つのアプローチをとりました。1つは、アーキテクチャ設計段階での工夫として、高速化が必要な処理をモジュール分割しネイティブな計算が行えるように設計すること。また、ボトルネックになると考えていた数値計算部分の高速化については、プロトタイプをいくつか作って処理速度やメモリ使用量の性能を比較検証し、アルゴリズムを工夫することです。

高速な可視化の実現についても2つのアプローチをとりました。1つは、今回のデータの性質に最適なアルゴリズムを選定するために入念な文献調査を行うことと、出来合いのライブラリでは遅くなりがちな部分に、独自に実装した計算幾何アルゴリズムを使用するという方法です。

これらの課題解決の方針、施策は、私自身では到底考え得るものではありませんでした。先輩社員の豊富な開発経験によって、科学計算分野特有の隠れたニーズや落とし穴を見越した設計がなされていたことで、適切な方針と施策を打ち出すことができました。その後のアプリケーションのコードリーディングの中で、先輩社員からそのノウハウを教えていただいてベテランの存在の大きさを知ることになりました。

真のゴールはお客様の課題解決

開発したアプリケーションは、解析処理速度、可視化速度においても、お客様の期待に応える高いパフォーマンスを実現することができ、お客様に満足いただいております。
その後、アプリケーションの拡張のご相談をいただくことができました。

この経験は、私にとって初めての異分野の業務経験となり、異分野であっても、対象分野の専門知識や開発実績のあるメンバーがアドバイザーになって支援してくれることで、プロジェクトを適切に進めていくことができるのだと自信を持つことができました。
また、私の専門である確率統計分野の知識を活かすことができましたので、幅広い分野でデータ解析の腕を振るいたいという私の目標の実現に一歩近づけたと思います。

それから、私たちの仕事は、仕様書通りにものづくりをするというだけではなく、最終的なゴールはお客様の課題解決であり、そこを見据えて取り組むことの大切さを学びました。

これからも、プロジェクト マネージャーとしてお客様の課題解決の設計図を作りながら、データ サイエンティストとして幅広い分野のデータ解析に携わっていきたいと思います。

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